東京高等裁判所は4月10日、刑務所で恋愛関係となり、その後養子縁組をした受刑者同士の手紙のやり取りを認めなかった刑務所の処分を違法として、国に慰謝料などを求めた原告の主張を認める判決を下しました。
原告の男性二人は、2014年に刑務所内で行われたグループワークを受ける中で親密になり、2015年5月に「(出所後は)ともに助け合い、支え合っていこう」と誓って養子縁組を結びました。その後別々の刑務所に移送された二人は、手紙のやり取りで支え合おうと誓ったにもかかわらず、刑務所に信書(手紙)の発信を禁止されていました。
受刑者と親族との信書のやりとりは禁止できないと法律で規定されているにもかかわらず、養子縁組関係にある二人に手紙のやり取りが認められないのはおかしいとして、二人は提訴しましたが、一審の判決で二人の養子縁組は、真の養親と養子の設定を欲したものではないとされ、二人の主張は認められませんでした。しかし、控訴審の東京高等裁判所は、同性愛関係を続ける目的でも養子縁組が認められると判断し、原告二人の主張を認める判決を言い渡しました。
同性間での婚姻を認めていない日本で、恋愛関係にある同性間での養子縁組は、以前より婚姻の代替手段として「事実上」使われてきました。
しかし、養子縁組には「社会通念上親子と認められる関係を成立させる意思があることが必要」とされているため、恋愛関係に基づく同性間の養子縁組は、今回一審判断のように、「本当に養親養子の設定を欲したものではない」と判断され、無効とされる可能性がありました。
今回の東京高裁の判断は、同性愛関係を続ける目的の場合も、養子縁組が認められると断言した点で、非常に大きな意義のある判決です。原告代理人の海渡弁護士は、「同性愛者間の養子縁組を認めた裁判例はこれまでなく、LGBTの人たちにもこういう形で家族関係を築くことができるということを示す、画期的な判決です」と語りました。
1審判決前に急逝された原告男性の一方に対し、勝訴したもう一方の男性は、「勝ったよと伝えたい。生きてこのときを迎えさせたかった。今回の判決をきっかけに、幸せな社会生活を送れるような差別・偏見のない国になってほしい」と語りました。
強制退去処分取消し訴訟の台湾人Gさんに、入管当局が特別在留許可を与えた3月のニュースでは、地裁から法務省への働きかけがあったと言われます。続く今回の判決も考えると、司法は、同性カップルが存在することを前提とした法整備の必要性を、行政・立法に訴えるシグナルを出し始めたと、解釈する事もできます。
同性パートナーシップ・ネットのメンバーも原告に立つ集団訴訟も、「結婚の自由を全ての人に」をスローガンに、同性愛、異性愛の区別なく、全ての人が平等に婚姻の選択を出来る社会を目指して訴訟をしています。この判決が、LGBTの存在を前提とした家族の在り方を、社会全体が考えるきっかけになることを願います。
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